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2026.08.31

耐震等級3は同じでも、中身が違う。許容応力度計算とは何かをわかりやすく解説します 15

耐震等級3は同じでも、中身が違う。許容応力度計算とは何かをわかりやすく解説します 15

「耐震等級3を取得しています」

住宅会社のホームページや営業担当者からこの言葉を聞いたとき、安心する方は多いと思います。

ただ、一つ知っておいてほしいことがあります。

「耐震等級3」という言葉は同じでも、その根拠となる計算方法によって、構造的な安全性の深さが大きく異なります。

この記事では、耐震性能の確認方法の違いと、許容応力度計算とは何かをわかりやすく解説します。住宅会社を選ぶ前に知っておくと、判断の精度が大きく変わります。

■ 耐震性能の確認方法には種類がある

住宅の耐震性能を確認する方法には、大きく以下の種類があります。

壁量計算(仕様規定)
建物に必要な耐力壁の量を簡易的に確認する方法。計算のボリュームは30ページ程度。2025年4月の法改正以前から長く使われてきた方法で、取得のハードルが低い。

許容応力度計算(構造計算)
建物全体にかかる力を一棟一棟詳細に計算する方法。計算のボリュームは400ページから1,000ページ程度。建物の重さ・形状・配置・接合部など、あらゆる要素を精緻に検討した上で構造の安全性を確認する。

30ページと1,000ページ。この資料の厚みの差が、計算の深さの差をそのまま表しています。

同じ「耐震等級3」という結果でも、壁量計算で取得したものと許容応力度計算で取得したものでは、根拠の深さが根本的に異なります。

■ なぜ許容応力度計算が重要なのか

壁量計算は「必要な壁の量が足りているか」を確認する方法です。一方、許容応力度計算は「建物全体に地震力がかかったとき、それぞれの部材がどのくらいの力を受け、安全でいられるか」を一つ一つ確認する方法です。

わかりやすく言えば、壁量計算は「材料の量を確認する」計算であり、許容応力度計算は「実際にかかる力に対して建物全体が安全かどうかを確認する」計算です。

この違いが実際の地震でどう影響するかは、複数の大地震の被害調査で明らかになっています。

2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2回発生しました。被害を受けた地域にあった耐震等級3の木造建築物16棟は、倒壊・大破したものがひとつもなかったことが確認されています。

さらに2024年の能登半島地震でも、壁量計算で取得した耐震等級2の長期優良住宅が倒壊した一方、許容応力度計算による住宅は高い耐震性能を発揮したことが確認されています。同じ「耐震等級2」でも、計算方法によって実態の強さが大きく異なっていたのです。

2つの大地震が、計算方法の差を実証しています。この事実が、2025年4月の建築基準法改正の背景にあります。

■ 2025年4月の法改正で何が変わったか

2025年4月、建築基準法が改正されました。主な変更点は壁量計算の基準が見直され、より実態に即した安全性評価が求められるようになったことです。

ただし、重要な点があります。

許容応力度計算を行っている会社には、この改正による影響はほぼありません。改正前と同様の家づくりが可能です。

また、2025年4月以降も壁量計算ルートは残されています。つまり、最低基準での対応を選択することは今でも可能な状態です。

この改正は耐震性能に対する社会的な要求水準が上がっていることを示しています。ただし、許容応力度計算を採用している会社にとっては、以前から当たり前にやっていたことが法的に追認された、という位置づけに過ぎません。

■ 「いつから全棟許容応力度計算を行っているか」が判断基準になる

住宅会社を選ぶ際、許容応力度計算を採用しているかどうかは重要な確認事項です。さらに踏み込んで確認したいのが、「いつから全棟に許容応力度計算を採用しているか」という点です。

2025年の法改正をきっかけに許容応力度計算を導入した会社と、法改正より何年も前から自社の方針として全棟に採用してきた会社では、耐震性能に対する姿勢が異なります。

規制への対応として取り組んでいるのか、それとも家族を守るために必要なことだから取り組んできたのか。この違いは、設計・施工の随所に現れます。

住宅会社に相談する際は、ぜひこの点を確認してみてください。

■ 確認すべき質問

住宅会社に問い合わせる際や打ち合わせの場で、以下の質問をしてみることをおすすめします。

耐震等級3の取得に、許容応力度計算を使っていますか?
「はい」と答えられる会社かどうかが最初の確認ポイントです。

いつから全棟に許容応力度計算を採用していますか?
採用の開始時期が、その会社の耐震性能に対する姿勢を示します。

構造計算書を見せてもらえますか?
許容応力度計算を行っている会社であれば、400ページ以上の計算書が存在するはずです。実際に確認することで、説明の根拠を確かめることができます。

明確に答えられない、あるいは計算書を提示できない場合は、それ自体が判断材料になります。

■ 私たちの考え方


私たちは2012年以降、すべての住宅に許容応力度計算を採用しています。2025年の法改正より13年前から、自社の方針として取り組んできました。

理由はシンプルです。耐震性能は規制があるからやるものではなく、家族の命と暮らしを守るために必要だからやるものだと考えているからです。法律の基準が変わっても、私たちの考え方は変わりません。

現在、私たちの許容応力度計算の計算書は1,000ページ程度のボリュームになっています。一棟一棟、その家にかかる力を詳細に計算した結果です。

「許容応力度計算を行っているかどうか確認したい」「計算書を見てみたい」という方は、ぜひご相談ください。実際の計算書をお見せしながら、わかりやすくご説明します。

■ 最後に

「耐震等級3」という言葉は、住宅選びの重要な基準のひとつです。ただし、その言葉だけで安心するのではなく、どの方法で確認した耐震等級3なのかを必ず確認してください。

・壁量計算による耐震等級3:計算書30ページ程度
・許容応力度計算による耐震等級3:計算書400〜1,000ページ程度

この差を知った上で、住宅会社を選ぶ。それだけで、家づくりの判断精度は大きく変わります。

耐震性能についてさらに詳しく知りたい方は、あわせてこちらの記事もご覧ください。

耐震等級3なら本当に安心?意外と知らない落とし穴(記事02)

制振装置には「効く順番」があります※少しマニアック(記事11)

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